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水 沢 有 美

水 沢 有 美

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第12回

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第12回
第一部:夏木陽介主演『青春とはなんだ』(11)
つなぎで歌っています!~『青春とはなんだ』第37話「あの標的を狙え」篇~
 

 前回の第36話「泣き虫健介」では、探偵のごとく街中を走り回っていた佑子たちでしたが、今回は、女生徒たちはあまり活躍しません。全般的にゲストの女生徒役の松本めぐみさんが物語の中心となっています。この第37話は1966年10月9日の放映で、脚本が倉本聡、監督が松森健です。
 物語は大きく二つの線にそって進んでいきます。そろそろ高校3年生にとっては大学受験、就職と慌しくなった時期に森山高校では「スミス&リンレイ社」という外資系の受験コンサルタント会社のコンピューターによる大学合格判定試験を採用することになります。しかし、実はこのコンサルタント会社と教頭たちはひそかに新興の大学・南部大学へ生徒たちを送り込むために周到に準備されたはかりごとが裏に存在していたのです。一方、就職組の生徒の中に小島君子(松本めぐみ)という女生徒がいます。永井先生(藤山陽子)が相談にのっていると「実は巨人軍から誘われている」と突飛なことを言い出すのでした。後楽園球場でのプロ野球の巨人軍専属のウグイス嬢として選手から誘われているというのです。「スミス&リンレイ社」にも胡散臭く思っている永井先生は大弱りです。それに反して野々村先生はあっけらかんとしていて合否認定試験ばかりかほぼ無試験で入学できる南部大学の存在にも単純に歓迎するのでした。
 野球部の友田(阿知波信介)が君子に一流大学へ野球を通しての推薦入学を頼む話が進む一方で、「スミス&リンレイ社」からの適正大学通知が直接、生徒たちの家庭に送り付けられました。しかし、何故か「南部大学が適当」という通知が過半数を占めていることが明らかになり、しかも東大受験をめざしている優等生の高松(杉本哲章)までもが「東大は無理、南部大学が適当」という通知に生徒たちは疑いを抱き、みんなで調査を解するのでした。

 ここで今回のクレジットを見てみてみましょう。一応、メインの女生徒は全員、一度は登場してくるのですが、水沢有美さん以外はノン・クレジットです。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、松本めぐみ
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、阿知波信介
5枚目 関戸純方、柴田昌宏、杉本哲章
6枚目 水沢有美、木下陽夫、松浦忠、石黒高志
7枚目 人見明、野々浩介、寺島信子、田所千鶴子
8枚目 小杉義男、名古屋章、菅井きん
9枚目 藤木悠、十朱久雄
10枚目 山茶花究

 注目すべきは3枚目ですね。『これが青春だ』でメインの女生徒になる岡田可愛、松本めぐみが並んでクレジットです。夏頃の撮影だったようですが、この頃には次回作の『これが青春だ』の企画も進行していたと思われますので、松本めぐみさんと豊浦美子さんとの生徒役交代を見据えたプレ出演だったかも知れません。そのように見ていくとメインの女生徒の中で水沢有美さんだけがクレジットされるというのは、今後の方向性を感じさせるものがあります。といっても、出番やセリフが少なくても全篇に出演しているのは、豊浦、岡田コンビを除いては水沢有美さんだけなので、当然なのかも知れません。

 では、佑子(水沢有美)の出演シーンを追っていきましょう。今回は全体を46場面とした中で4場面のみでした。一応、今回はおおよその登場時間も記しておきます。

第1場面(#14)音楽室 17.20~17.50
 校舎が映し出されとある教室をズームアップして近づく。女生徒たちの歌声が聞こえる。
カメラは音楽室の黒板の前に集まって「♪森へ行きましょう」を合唱している女生徒たち9人を移動しながら映し出していく。岡田可愛、豊浦美子、水沢有美、遠山智英子、松田八十栄らは、実に楽しそうに歌っている。カメラは再びパンして音楽室の校舎から職員室のある校舎へ移動して深刻に話をしている永井先生と小島信子の姿を映し出す。この間、わずか三十秒あまり、遠山智英子、松田八十栄のお二人はこれでお役御免、ノン・クレジットの所以でした。何やら歌を歌うだけの登場でした。ここまで女生徒では松本めぐみさんだけしか出ていなかったので、メインの女生徒たちをつなぎで出したという感じでした。確かにある種の対比を狙った演出だったかも知れませんが、やや唐突で付け足しという感も抱きました。

第2場面(#29) 神社(夜) 29.00~30.00
 キャプテン(関戸純方)に召集されて集まった10人ほどの生徒たち。女生徒は岡田、豊浦に水沢有美さんの3人。ただし、佑子のセリフはなし。顔のアップもなく白いワンピース姿で判断できる程度。キャプテンから「スミス&リンレイ社」の通知の過半数が南部大学であったことが報告される。教頭たちが怪しいということで、全員で調べることになります。第36話「泣き虫健介」に引き続き再び高校生探偵団の活躍となります。

第3場面(#39) 手塚商店(電気や、夜) 41.10~41.40
 連絡場所である手塚(柴田昌宏)の家である電気店に勝又教頭(山茶花究)と中川先生(藤木悠)の自宅を見張っていた木村豊幸、矢野間啓治、豊浦美子、岡田可愛、水沢有美らがやってくる。今日は動きがなさそうなので解散しようかという話になるが、杉本哲章さん扮する高松だけはまだねばって教頭宅を見張っているという。

第4場面(#42)同上、手塚商店(夜) 41.40~42.20
 高松のねばりで勝又教頭とスミス&リンレイ社の社員(人見明)が動き出したことがわかり、久保と寺田が野々村先生を連れてやってくる。佑子役の水沢有美さん、不安そうな顔をしつつ手を顔辺りに持っていく。久しぶりに鼻をさわるのかなと注目していると口元で止まってしまいました。口を噛むという仕草でした。
しかし、この連載で水沢有美さんに注目してみていると他の生徒たちに比べてとても細かな演技、仕草をしていることに気づかされます。当然、カメラを通して見ているカメラマン、監督といったスタッフの人たちは、そのことに気づいていたことでしょう。それが次回作『これが青春だ』に引き続き出演することになったように思えます。

物語の方は、校長と共に旅館で接待を受ける教頭の部屋を急襲した野々村先生は、今回のカラクリを暴くことに成功します。怒り心頭の校長先生がめずらしく勝又教頭を怒鳴りつけます。一方、松本めぐみさん扮する小島信子は、受験や就職といった軋轢から心身に支障をきたし、虚言症になっていたことが明らかになるのでした。ゆとりのない状況に対して苦言を呈する野々村先生でした。

というわけで、今回の佑子にはセリフらしいセリフがありませんでしたので、音楽室の描写以外の採録もなしでした。

 


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